成人式の着付け/多くの人の着付け依頼に対応できない現状が!!

着付師少ないの?

今年お受けしたのは5件でしたが、オファーをいただいて、お断りせざるを得なかったかたが、20人近くいました。

これは成人式の開会時間決まっている中で、1軒、1軒と移動していくには、間の移動時間もあり、それ以上は無理という現実があるのです。

卒業式、特に小学校の卒業式なども登校時間(8時〜8時30分くらい)までのお着付けだと、できるだけ移動時間が少ないことで一人でも多くの方のお手伝いをして差し上げたい、と思っていますが、人数には限りがあります。

そんな中、お断りの連絡をするのが大変心苦しいのですけれど、仕方がありません。

さらには成人式の着付け依頼を探している方が、当日の1週間、いえ、2、3日前までもいらしたことです。このような方達が成人式に間に合っていればいいのですけれどと心配になりました。

このような現象を考えてみますと、着付けができる人たちが減少している一方で、着物を着たい方、小学校の卒業式で袴を着たい方々が増えているのではないのかと、思います。

着付師の減少!

着付師が少なくなっているというのに思い当たるのは、経験を踏まえて考えてみると、今までやってきた方がたの高齢化で、やめていく人が多いからだと感じます。

どんな場所で、どのような着付けが行われているのでしょうか?

①いちばん大勢が集められているのが、貸衣装店がホテルなどで行う、場所貸切での一斉着付けでしょう。

②次が、美容室でヘアセットの後、着付けというところでも着付師が入っています。

③そのほか、着付教室などでの着付け。

④個人で直接依頼を受けて、出張で出かける。

このような中で、着付師側から見てみましょう。

①の大きな会場での一斉着付けの場合、着付け師は、前夜から近くのホテル等に泊まり、3時起床、4時現場入り、または始発で行って、その後着付け開始。大半午前中で終了。

この間6〜8時間の労働時間ですが、早朝手当もなく時給1,000円くらいです。

私が最初に経験した6〜7年前は時給700円台でのお支払いでした。

しかし、それでも人が集まっていたのは、他でもない着物が好きだという年配の方の気持ちが大きかったと思われます。

大半が教室の先生が生徒さんへ着付けの指導、特訓等をして連れていくのです。

大勢の着付け師を集める必要があるので、上手な方も当然いたとしても、技術があまり伴わない方までも集められていたのも事実です。(最終的には責任者として先生がチェックして、大丈夫と送り出すので、その辺りは先生の技量にかかっています)

そんな中、今まで頑張って着付けに携わってきていた方々も高齢化で辞める方が多くなっているのだと思われます。

でも次の世代の方が続けば!!

次の世代の方が、どんどん少なくなっているのが現状でしょう!

それは何故か?

着付けで仕事にはならないからなのです。

上記①②③のいずれも、お客様から直接ではないので、当然ながら途中でマージンが引かれます。

衣装レンタル会社の利益は当然のこととしても、次にカメラマン、そして美容師、最後に着付け費用で、多分この順に金額は少なくなっているのだと思われます。

しかもお仕事のオファーは、成人式と大学の卒業式がメインで、その他は個別に先生が依頼された案件があれば、何人かはお仕事として派遣が叶うでしょう。

ここまできて、お読みになった方でお気づきの方がいらっしゃるかもしれませんが、先生が引っ張っている間は、高齢者でもなんとか集団の着付けで活躍もできますが、先生自体の存続が不可能になった時、そこで次のリーダーが育っていないのが大きな問題の一つかもしれません。

そして最初に書きましたように着付け師の仕事に対する評価が低いこと、さらには、着付けの仕事自体が季節労働者で一年を通じてのしっかりした収入とならない、ということも仕事として捉えられない理由でもあると思われます。

大手の教室を除いて、街の個人の教室は存続すら難しいこともあります。

それは、着付けを習おうという方が少なくなってきていることも一つの要因でもあるでしょう。

着物を持ってなくても、気軽にレンタル着物が借りれる時代です。

高い着物を調達して、気にしながら手元に保管して、という面倒なことを省きたい。

そうすると着物を持つ必要がない。着付けを習う必要もなく、着たい時にレンタルの着物で着付け師をお願いする、という個人への依頼が増えてきている現状だと思われます。

成人式に関しては、今回私も依頼を受けた方々の中で、お母様の振袖をお嬢様がお召しになるという方も多くいらっしゃいます。

しかし、その時着付け師が少ない、という悪循環が始まっているようです。

着付けの習得に若い方の参加を期待したい!

仕事をしながらでもいい、パートで空いている曜日でもいい、お子様が少し手が掛からなくなってきたら、まずは着物を着ることに関心持ってもらいたいですね。1〜2年で自分で着付けをしてあげられるくらいの技術をもてば、お仕事も回ってくるのではないでしょうか?

そこには、依頼業者の料金体系も見直していただく必要があるのですけれど、着付けを受ける着付け師の側でも、数年かけて習得し、さらに経験を積みながら技術をあげていく、努力と時間に対して、それに見合う料金体系を考え、実践すべきでもあるのではないかと思います。

若い次世代の方が、着付けの指導や着付けをすることで、単なる喜びだけではなく、働く実感としての収入を得られるようなシステムとならなければ、再び着物自体が衰退に向かっていくことになるやも知れません。

着付師の存在を堂々としらしめていくことこそ、着物やそれを纏う人のためになるのです。

着付けの技術も経験が大きいです。経験こそが上達の道となります。

着付けをして差し上げるその喜びは、他の仕事にはない達成感、喜びがあります。

お客様のお喜びをお裾分けしていただいているのです。

気持ちも、ほっこりと、暖かく、幸せになります。

お客様に感謝です。

そして自分自身の幸せ、喜びになります。

素敵なお仕事に、着物っていいな!と思う方、是非まずは着付け教室の門を叩いてみてください。