成人式から卒業式まで 怒涛のような時間が過ぎると、早1年の「4分の1」が過ぎていました。

卒業式の着付けを終わって

3月だけで30人様への着付けをしました。

その中には、結婚式の留袖の着付けや、訪問着等の着付け、または喪服の方もいらっしゃいましたが、

大多数の方は卒業式関係での着付けでした。

卒業式といっても、母の訪問着、大学の卒業袴、小学校の卒業袴、担任の先生の袴、仕事しながら専門学校へ通って国家資格をとって晴れてご卒業の方の袴など、いろんな方のお着付けをしました。

今までの思い出を胸に、これからの新しい出発に期待を込めた、それぞれの方の明るいお顔が印象的でした。

袴の着付けで今回特に感じたことを記してみたいと思います。

1. 今の小学6年生は、なんと健やかな成長をされているのだろう!!という驚きでした。

ご依頼お受けして、お着物の確認等の連絡の中で、「私が(母)が昔着た着物です。」と言われて、(それって大き過ぎないかしら?)と思ったのですけれど、お会いしてわかったのは、本当に160cm前後の方も多かった、ということです。

大学生で、お母様の若かりし時の着物を着て、というのは普通だと思っていましたが、小学生でもそれがOKという常識となっていたのです。

2. 袴丈(袴の長さ)を選ぶのは難しい!!

当然袴も丈の長さがあります。
最近は草履よりもブーツを選ぶ人が多くなっています。
靴ですので、履き慣れない草履よりも歩きやすいし、着付けの裾も短くなりますので、汚れや雨の場合でも気にならない良さもあります。
レンタル等で選んでいただくのに、短めをお勧めするところでもありますし、多分レンタルの会社でもその違いは明記してあるのかもしれません。

でも、一般的に長い人が多かったです。もう1段階(3〜4cm)くらい短いと着せやすかったですね。

ここで、大学生と小学生が同じ身長だから、袴のサイズも同じ、というレンタルでのサイズ選びとなっているのだとは思いますが、小学生の体はまだ細く、それゆえ、袴の長さも同じ身長、同じ袴丈であっても、大学生等では当然の長さであったのに、小学生では若干長過ぎてしまう、ということもございます。同じ身長でも横幅が違うと、着物は着た時の長さが違ってくるのです。

着物、そして袴については全くわからないという方がほとんどですので、その辺りをレンタル注文の時に気をつけて、というのも難しいでしょうね。でも、レンタルの会社さんの方での対応をも少し検討していただきたいところです。


※ <袴丈(長さ)で着付けで気をつけていること>

特に小学生の場合、外を歩く時はブーツ時の長さに合わせればいいのですけれど、卒業式はほとんどの小学校は体育館です。
学校に行ったら、昇降口で上履きに履き替えることになります。そうすると草履を着た時の長さに合わせておいた方がいい、ということにもなります。また卒業証書をいただくために、階段を数段登って壇上に上がり、証書を受けとってお辞儀をすることになります。そこでブーツの時の長さに合わせて短くしていると、ちょっとみっともなく見えてしまいかねません。

ということで、通常のブーツ丈よりちょっと長く、でも草履の時の長さより、ちょっと短く、という気持ちでお着付けしています。
着せてもらっているお子様にはそのあたりについてはわからない事ですし、着付師としての配慮です。

3. 着物は紐を締めて着ていくものです。その紐の締め具合には最善の注意を払って着付けています。

紐の締め具合が、着付けの最も基本であり、最も重要な点であると、私は思っています。

そんな中、特に袴の場合、小学生のお子様だったり、幼稚園児だったりのお子様には、紐一本絞めるごとに、「キツくない?」「大丈夫?」とお声がけして着付けていきます。特に年齢の低いお子様は、常日頃からだを締め付ける服を着るという体験がほとんどないこと。また成長していくにつけて身に付いていく脂肪等の体の弾力性もないところで、紐を絞めること自体に抵抗があるお子様もいらっしゃいます。

大半の人、お子様は「大丈夫です!」という返答をいただいて結んでいくのですけれど、「きつい!」「きついです」というお返事いただいた時は、極力キツくないところで、しかもなんとか着崩れしないところで締めていきます。

そんな中でも、問題が出てきます。

それほど気をつけて締めていったにもかかわらず、着付け終わった後に「気持ち悪い!」となる方が、たまにいらっしゃるのです。

そんな時は、一度全ての紐や帯を解いて、気分が直ってから、今一度お着付け直します。

こういう方は、日頃貧血気味だとの自覚があったり、当日に向けての緊張感で睡眠がちゃんと取れていなかったりということもあるようです。お着付けする前にこの辺りもお聞きしておく必要があるとの反省をしています。

この経験は去年、小学生でお一人、今年は25人ほどの袴の着付けをした中で大学生の方がお一人いらっしゃいました。

お二人とも、着付けし直して、本当に着崩れ大丈夫かしら?との心配ギリギリでのお着付けで、ずーっと心配していたのでしたが、結果は夜まで全く大丈夫だったと伺ってホッとした次第です。

4. 幼稚園児の袴の着付け

幼稚園の卒業式で、園児の袴の着付けのご希望が増えつつあるようです。
小さいお子様だと体がまだしっかりしていないところでの着付けは厳しいものがあります。
まずは上記に書きましたように、紐を体に廻して紐を結んだ途端、というのは絞める前に「キツイ!!」と言われてしまうお子さんが結構いらっやることです。
紐の当たる場所にタオルを入れてクッション材にしても、一度「キツイ!」という感じを持ったお子様は、強く絞めるのでなくてもなかなか「大丈夫!」というところにならない、本当にどうしよう!となってしまいます。
今回、私の失敗談をあえてこちらに披露させていただきます。

まず一本めの紐を締めたところから、この「キツイ!」とのお声が出てきました。
「このくらいならどう?」と確認しながら、(このくらいは締めないとヤバイ!)とそれでも極力緩めで結んでいきました。
お子様の顔を見ながら、それでもお顔は大丈夫、というお顔にはなっていない!ついつい、もちょっと緩めておいた方がいいのか!?
と自問自答しながら着付けていきました。
そして、このような状況のお子様にあって、更なる困りごとが、お着物が良過ぎて、長過ぎて、滑り過ぎてということでした。
レンタルの場合は、大抵化繊の軽い着物が多い、そして、長さも袴用に初めから短く仕立ててあると着付けるにも楽なのです。
それが、小さいお子様、そして通常より少し華奢な細身のお子様です。おはしょり分も取れそうに長い着物で、多分正絹の着物だったと思います。それを袴用に短くするにも紐が必要です。
帯をしめて、袴を着付けるにも、それこそ、しっかり締めないと袴は着崩れてしまいます。
袴の着方の着崩れの原因は、袴の紐の締め具合にかかっているのです。
通常の特に大学の卒業生などの大人の方達に袴を着付けるには、最後に前でリボン(男性は正面前の十字結び)を結ぶのですが、この時紐の中に指を入れて結んでいきますが、指が入らないくらいに締めて結ばないと、袴の後ろが下がってきて、着崩れの原因になってくるのです。
そのくらい絞めることが必要ですので、紐が閉められない、ということは、着物を着るにあたって、大きな障害となるのです。

今回、そのお子様はやはり着崩れされたと後で伺って、申し訳なさと、どうすればよかったか?を自問自答しました。
最後に今一度、最後の袴の紐だけ、もうちょっとだけでも閉めてあげればよかったのでは?と反省しています。
この時も、次のお客様の時間で移動もありで、そこまでやって差し上げられなかったのが申し訳なかったと思います。
そこで一手かけていての着崩れであれば、仕方がなかったことと思えたかもしれませんし、お母様にもその旨お話しして、手直しの仕方も教えてあげれたら良かったのに、との反省です。

次のお客様も、奇しくも同じ幼稚園に通っていらしたお友達でした。
こちらのお子様は、着物袴ともすんなりお着付け出来て、最後まで着崩れなしで良かったです、との感想をいただいています。

七五三の男のお子様でもこのような事はあります。
男のお子様は羽織を上に着ますので、サスペンダーをお使いになられると、紐が少々緩くても、下がってきたりしませんので、ぜひサスペンダーのご準備をされておくと安心です。

来年に向けては、事前にお母様たちへの袴の着付けのレクチャーの機会を持つつもりです

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