加賀友禅の魅力を探る
織元さん、染元さんなどの着物の制作現場に関わっている方達から、それぞれの着物の魅力をお聞きするシリーズ始めます。
第一回目は加賀友禅と加賀縫です。
今回は、着物と言えば友禅染、と言われるほど有名な友禅染。その中の加賀友禅と加賀縫についてです。
友禅染には、京友禅、加賀友禅、東京(江戸)友禅そして、十日町友禅があります。
友禅染の歴史と種類
京都の扇面絵師の宮崎友禅斎によって考案されました。それまで、扇に描いていた絵を、着物に描き始めたのが京友禅の始まりです。
友禅染は、糸目糊(もち米)を使って防染する事で、色移りのない絵画的な文様を描き染めていく技法によって、華やかで、豪華な文様が着物として生まれたのです。
京都で生まれた友禅染は、江戸中期、加賀百万石の城下町に、晩年の友禅斎が移り住んだことで、加賀友禅が生まれました。
江戸友禅(東京友禅)は江戸時代の17世紀後半から、18世紀半ばまで度々出た、奢侈(しゃし)禁止令で、それまで金糸、銀糸の刺繡や絞りの豪華な着物が取り締まりの対象となったこともあり、京都から友禅染の染師を招き作られていきました。江戸友禅は町人文化を反映した、渋くて落ち着いた色合いに、都会的センスのお洒落感が特徴となっています。
新潟県十日町市で作られるようになった 十日町友禅は歴史的には浅く、昭和30年代から10年以上の年月をかけて生み出されました。
加賀友禅染の技法
加賀には、もともと「梅染」という無地染めの技法があり、また「加賀御国染め」といわれた色彩染めもありました。
そこに友禅斎の友禅染の技法が取り入れられて、加賀友禅が生まれたのです。
加賀友禅の制作工程は、9工程となっていますが、その間にも手直しなど何度も手が入って、完成品となるとのお話でした。
加賀友禅の特徴
加賀友禅では、染める色を5色を中心描いていきます。それを加賀五彩といい、藍・臙脂・黄土・草・古代紫 の色が用いられています。
染め方にも特徴があって、模様の外側が濃い色で内側が薄い色の外ぼかしの技法が取られています。
そう今までは、教わって来たし、本等でも大半そう書かれています。
ただ、外ぼかし(京友禅は色使いが反対)などの技法については、今はいろんな染め方をそれぞれの友禅染でも行われるようになってきているというお話でした。
その他、京友禅と加賀友禅の見分け方に、
京友禅は刺繡や金銀の箔が付いているのも多いけれど、加賀友禅には刺繡や箔はない。
今一つ、加賀友禅は、一人の作師がやっていることで、必ず落款が付いているのに対して、京友禅では、作業工程が20前後とあって、それぞれが分業になっているのことで、作師の落款はついていませんというお話も新たな学びでした。
加賀縫
実は、今日お話伺った方は、加賀縫工房 椿 の方でした。
加賀縫は、室町時代初期に仏教の布教と共に、仏具や袈裟などの飾りとして伝えられた技法で、江戸時代には将軍や藩主の陣羽織、持ち物の装飾、奥方たちの着物にも用いられていたという事です。
現在は7工房あって、加賀縫の伝統工芸士といわれる資格を持った人が17人携わっているのだそうです。
加賀縫いの定義は、17人の伝統工芸士が縫った物。そして絹地に絹糸で縫われた物を加賀縫といい、地がポリエステルなどの化繊系に縫われた物は、糸が絹糸を使用してあっても加賀縫とは言わず、加賀刺繡というのだそうです。
本日お話伺って、改めて加賀友禅の芸術的な美しさを堪能し、(すみません、買うにはもっとお金を貯めないと無理なもので、) 勉強させていただきました。
加賀縫に至っては、聞く機会もなかったようで、あまりわからず対面したというところでしょうか?それ故にこそ新たな発見、勉強にもなりました。
でも帰ってきて、このブログにまとめようとしたら、お話、真剣に聞いていたつもりだったのが、辻褄が合わなかったりと、その後の確認勉強にも結構時間を費やすことになりました。
次回以降も、聞いたことあるけれど、❓。よくわからないなという事について、今回のように突撃取材で、勉強させて貰おうと思っています。
事前に、も少し、勉強して、予備知識を入れておくことも大事だな、と痛感ししました。