浴衣を通して届けたい温かな心
7月31日土曜日の午後、訪れたのはある養護施設でした。
今年は学園自体での夏祭りもないという中、着付けを習いたいと集まってくれた子供たち。
男の子:小5 ・ 中2 ・ 高1 2人 ・ 高2 ・ 高3 計6名
女の子:小4 ・ 小5 2人 ・ 中3 計4名 (今一人の希望者は急遽アルバイトが入って出れなくなったという。)
女の子用の浴衣は今までも夏祭り等で着せてあげたりしているので用意があるけれど、男の子用は今まで着てもらったこともなく
全くないとのこと。
そこで考えたのが、箪笥に眠って処分に悩んでいる浴衣を寄付してもらうことでした。
男性用の浴衣は地域紙タウンニュースさんにお願いして、寄付を募りました。
7月9日に掲載されて、22日までの3週間をご寄付いただく期間としました。
掲載されたその日から、お電話があり、締め切りまで9名の方からのご寄付をいただきました。
有難い事です。善意のお気持ちも子供たちに伝えたいと思いました。
浴衣8枚・帯6本・下駄3足・その他夏物の着物や反物などがありました。
生地や染もしっかりしていて、新しい物でミシン縫いの既製品等と比べるとずっといい物が集まりました。
それらの浴衣はご主人様の物だったり、お子様たちのための物であったりと、多分一針一針心を込めて縫われた物のようです。
先ずは男の子たちの1時間です。
浴衣を選んでもらう事から始まりました。
ご挨拶・自己紹介などの後、床にサイズ順に並べた浴衣と、それぞれの身長を合わせながら選んでもらいました。
寄付していただいた浴衣はあらかじめサイズを測って持って行きました。
すべての子がピッタリのサイズで合うわけではなく、中にはちょっと長すぎるかな、という子もいましたが、それなりに練習始めました。
着物を着るには紐を利用する事が不可欠です。
着物を身に纏って、次に紐を回して結ぶ、という手順です。
通常の着付け教室での紐の扱い方の指導の時よりも、あっさりと出来ていくのはやはり若さの性かと!!
(女性は、紐の使用本数も多く、扱い方ひとつで着方に影響するという事で難しいという事もあるのですけれどね)
帯(兵児帯と細帯)を結んで、恰好整えると、はにかみながらも、お互いに「オーッ」と歓声が上がりました。
園で生活している男子が20人。そのうち6人が参加してくれたことに、感動しました。
もちろん自分で着物・浴衣を着たいと言って手を上げてくれた子供たちだという事でした。
最近私の周りでも男性で着物を着たいという人が多いこと。
着物を着るのに女性より男性の方が簡単である事、などを伝えて、将来着れるような状況が出来た時は躊躇することなく是非着て欲しいと話しました。
小学5年生から中学生高校生までの6人、最後はカッコよく写真に納まっていました。
(私の方での写真撮影は、子供たちの置かれた状況等もあり、撮ることはできませんでしたので、ここにアップ出来る物もありません。女の子も同じです。)
次の1時間が女の子の練習です。
園で準備してある浴衣を広げて選んでもらいました。
小柄な子が多くて、お端折り対応も厳しい浴衣での練習の子もいましたけれど、何とか着る事ができました。
帯結びは、文庫結びと蝶文庫を練習。
可愛い文庫・蝶文庫の帯結びです。
可愛く結べて、みんな笑顔に!
感想を言ってもらいました。
当然でしょうけれど、みんな「楽しかった」
「自分で着れるようになりたかった」
「日本文化を知ることが出来て嬉しかった」と言ってくれた小5の子は
後で先生に聞くと、「確かに日本の古い文化に興味を持っていることは知っていたけれど、積極的に発言するのは初めて見ました」とのこと。普段目立たない子が、興味ある事できはきと積極的になれるのが目の前で見る事ができました。
浴衣を通して温かな心の交流を感じて貰いたい
浴衣を寄付してくださった方々と、子供たちの 直接会えないけれど浴衣を通しての温かい心の交流が出来る事。
家庭的に恵まれず、心に影を持っている子たちに人の温かさが伝わって行けばいいな!
そんな思いで引き受けた今回の養護施設での浴衣の着付け指導でした。
お会いした子供たちは、何の屈託もなく、明るくて素直な子供たちでした。
着物、浴衣に触れて楽しみ、また浴衣を寄付してくださった人達に感謝して、人の有難さを感じてくれたかな!?
何よりも着物を着たい、日本文化が好きと言ってくれた子供たち、
またいつでも行ってあげるよ!!
卒業しても着物の事ならSOS出してくれれば、飛んでいくよ!!
そんな気持ち、そんな元気をいただいて帰ってきました。